喜如嘉 芭蕉布

京のきだおれ会

2020年05月12日 10:49




芭蕉布
沖縄県本島北部の大宜味村喜如嘉は、戦前から芭蕉布の生産地として知られる。
芭蕉布は古くから、北は奄美から西の与那国、南の波照間島まで広く織られ、男女の
別なく、また身分の上下なく利用されたものである。
芭蕉布の材料となる芭蕉は、糸芭蕉と呼ばれ、大型の多年生草本である。
バナナと同じで実もなるが、種が大きくて食には適さない。
自家製の芭蕉布作りは、一家の仕事であった。糸芭蕉を育てて刈り取り、糸作り、織り、
それぞれの仕事に、娘たちが、お年寄りたちが、そして子供たちの手が加わり、ときには
男性もその仕事を手伝った。
現在では、このような老若男女が参加する作業の形態は見られなくなった。しかし、
芭蕉が育つ地域で糸が作られ、近くの山から採れる植物や山原で育つ琉球藍で糸を染め、
布を織るという、手仕事のもっとも理想的な形を今でも伝えていることは、
この沖縄本島北部の染織の大きな特色である。

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